もう、さんざっぱら騒ぎにもニュースにもなってるので、今さらなんですが。
今回の東京都の青少年健全育成条例改正について。
色々と思うところはあるけれど、一番笑ったのが「『源氏物語』も規制対象になる可能性がある」っていう部分。日本の古典史上、最も有名で最も学ばれていると言われる名作が！まさかの青少年健全育成条例違反！（笑）ということは、古代・中古・近世あたりの文学は、全て中高の教科書から姿を消すことになりますなぁ。あの時代、10代前半での婚姻とか普通だったもの。井原西鶴の「好色一代男」とか、主人公の少年時代なんか原作の挿絵も結構アレだし、ヤバいんじゃないのか…？（ある意味、児童からの逆セクハラが多いが）あ、ビジュアル化しなきゃいいのか？いや、そもそもそういう問題か？
源氏が若紫攫ってきて幼な妻にしちゃうシーンを読んで真似しようって行動に出るやつなんか、いないでしょ。西鶴読んで、女風呂覗く気になるやつなんているの？一体全体、なんの影響を危惧してるんだ……くっ……！（堪えきれない・笑）
あー笑った。腹抱えて笑ったわ。
いい加減、この条例のアホ面白さに気付くべきだと思います。政治家の方々も。
表現の自由を取り締まるとはー！とか、主張したいことは山ほどあるけども、何よりまず、案件上げてる人たちがこの法案の可笑しさに気付いて！冷静になって！！（笑）

スタンス？
あ、当然ですが反対派です。私は。
小説にまではまだ手は伸びていないとしても、こういうものは一度どこかで肯定されちゃうと、すぐに他ジャンルにも枝葉を伸ばしてしまうものだと思うので。物書きの端くれとして、想像上の設定に制限なんか設けられたらたまったもんじゃないです。別に、『18歳未満と思われるキャラのエロが書きたいのよーぅ！書けなくなると困るのよー！！』ってわけじゃないです。（いや、書いてるけどさ・笑）そうじゃなくて、創造・想像する上での“制限”がかかってしまった場合に起こり得る、萎縮が怖い。実際に性行為を書く・書かないは別にして、話を考える上で「はい、これは駄目ですよー。この範囲の中で考えてねー」と言われてしまうと、アイディア自体が絶対に小さくなる。広げられなくなる。「考えるのは自由だから別にいいじゃん」と言われるかもしれないけれど、「実際書けるけど書かない」というのと、「書いちゃいけないから書けない」だと、最初から向かい合う姿勢が違う気がする。どうせ書けないことは、考えられない。んむ～……うまく言えないですけど。


今回たまたま性行為の描写についてのみ取り沙汰されてますけど、今回これに屈してしまったら、今度は何がタブーにされるか分かったもんじゃない。犯罪抑止のために、と小説や漫画の中で罪を犯してはいけない、とかいう決まりが出来るかもしれない。
私は西村京太郎氏の旅情ミステリーが小学生の頃大好きで読み漁ってましたが（どんな小学生）、十津川警部シリーズも、例えば「○○（地名）殺人事件」っていうのが「○○（地名）」になるんだよね。単なる警部の旅行記。「消えた女」とかは、別に誘拐されたわけでも事件性のある出来事に巻き込まれたわけでもなく、単なる家出か「あ、行き先家族に言い忘れてたわ」的うっかり。だって、殺人とか誘拐とか、読者に影響を与えてしまうかもしれないから駄目なんでしょ？犯人のいないミステリー。なんじゃそら。
でもきっと、ありえないことじゃない。だからこそ可笑しくて、怖い。


別に、エロ漫画読んで育ったから性犯罪犯すわけじゃないんだけどね……。大多数の人間は、普通に生きてますよ。実際に事件起こすような、そんな狂った少数の人間を抑制するために、何をしてくれるのか。そんなら簡単に人が殺されちゃうようなドラマはどうなんだ。生徒と教師の恋愛描いた「高校教師」はどうなんだ。もうわけがわからん。

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